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PowerPointでゴールデンサークルのスライドを作る方法(同心円がずれる原因)

PowerPointでWHY-HOW-WHATのゴールデンサークルを作る手順。目分量でドラッグした同心円が中心からずれ、WHYの一文が円からはみ出してしまう原因と、数値入力とAlign Center・Align Middleで中心を揃え直す具体的な直し方を解説する。


PowerPointでゴールデンサークルを作るには、3つの円を目分量でドラッグするのではなく「書式ウィンドウ」で正確な数値を入力してサイズを決め、リサイズのたびに3つすべてを選択して「左右中央揃え」と「上下中央揃え」をかけ直す——これだけで、WHY・HOW・WHATの3つの円は中心がずれなくなる。ゴールデンサークルはSimon Sinekが2009年のTEDxPugetSoundで提示したモデルで、中心から外に向かってWHY→HOW→WHATの順に伝えるべきだという主張だ。図自体は円が3つあるだけに見えるほどシンプルで、だからこそ「3つの円が本当に同じ中心を共有しているか」「WHYの円に一文がちゃんと収まる大きさになっているか」を誰もチェックしない。この2点さえ直せば、役員会で近くから見られても崩れないスライドになる。

ゴールデンサークルが主張していること、図形の話だけではない理由

Sinekがこのモデルを作ったのは、中立な3マスのテンプレートとしてではなく、ある主張をするためだ。ほとんどの組織は外側から内側へ、つまりWHAT(何を売るか)、HOW(どうやるか)、そしてたまにWHY(なぜやるか)という順で話す。Sinekの主張は、人が本当に愛着を持つ組織は逆の順番——WHYから語り始める——で話しているというものだ。彼が挙げる代表例はAppleで、3つの円に割り当てられる文章量がそもそも均等ではない。WHYは短い一文("我々のすることすべてにおいて、我々は現状に挑戦し、違う考え方をすることを信条としている")、HOWは説明文が一文("その現状への挑戦を、美しくデザインされ、使いやすく、親しみやすい製品を作ることで実現している")、WHATに至っては素っ気ないほど短い("そして、たまたま素晴らしいコンピューターを作っている。1台いかがですか")。

この非対称性こそ、PowerPointで作られるほとんどのゴールデンサークルがこっそり落としている部分だ。テンプレートはWHY・HOW・WHATを同じ大きさ・同じ行数・同じ見た目の入れ替え可能な枠として扱う。図形ライブラリがそういう作り方をするからだ。しかし本来の設計はその逆で、WHYの円はいちばん小さく、いちばんサイズを見誤りやすい円でなければならない——スライドの中でいちばん短く、いちばん重みのある一文を収める場所だからだ。円のサイズと文章量が噛み合わなければ、誰かが文字を読む前に、スライドはすでに主張を伝え損ねている。

Before: 一見きれいな同心円が、よく見ると中心からずれているスライド

10人規模の戦略ブティックが自社のピッチデック用にこのスライドを作ったケースは、失敗の起き方がごく普通だという点で参考になる。誰かがPowerPointを開き、WHATの円を描き、その中にHOWとWHYの円をさらに2つ描いて、手前の円との位置関係を目分量で調整する。編集画面の100%表示で見る限り、3つの同心円と3つのラベルが5分もかからず完成しているように見える。

問題は、スライドをもう少し注意深く確認した瞬間に表面化する——フルサイズで印刷したとき、大画面に投影したとき、あるいはレイアウトを再確認しようと200%にズームしたときだ。まず、3つの円が中心を共有していない。中段の円の塗りが外側の円の縁に沿って三日月状にはみ出して見える箇所がある。それぞれの円が共通の基準点ではなく、1つ前の円に対してドラッグで位置合わせされているからだ。次に、「ほかの2つと見た目のバランスが取れるように」目分量でサイズを決めたWHYの円が、実はこのブティックの信条の一文を収めるには小さすぎる。フォントを縮小してもまだ収まらず、文字が4行に折り返されて円の外にはみ出す。どちらの問題も、テンプレートを最初に作った30秒の一瞥では見えない。そしてどちらも、クライアントやパートナーが2回目に見たときにちょうど気づく類のミスだ。

目分量でドラッグして作った同心円が中心からずれ、WHYのラベルが円からはみ出している図(左)と、数値入力とAlign Center・Align Middleで作った同心円が中心を共有し、各ラベルが円内に収まっている図(右)の比較。
図: 目分量でドラッグした3つの円は中心が一致せず、WHYのラベルもはみ出す(左)。数値入力でサイズを決め、リサイズのたびに整列し直した3つの円は中心を共有し、ラベルも収まる(右)。

何が壊れているのか: 1つの図形に2つの別々の失敗が重なっている

1つ目の失敗はPowerPointの操作仕様の問題であって、デザイン判断の問題ではない。図形の角のハンドルをドラッグしてリサイズすると、動かした角と反対側の角が基準点として固定される——円の中心が基準になるわけではない。だから円をドラッグでリサイズするたびに、その円の中心はこっそり移動する。HOWとWHYのそれぞれで1回ずつ、「だいたい中心っぽく見える」ところまで目分量で調整し直すと、3つの円はそれぞれ違う中心を持つことになる。一瞥では気づかない程度に近く、よく見ると隙間が見える程度には離れている、というちょうど厄介な距離感だ。このズレは編集のたびに積み重なる。1回の悪いリサイズが原因なのではなく、そもそも最初からリサイズの基準になる「共有された1つの中心」が存在しなかったことが原因だ。

2つ目の失敗はコンテンツ側の判断で、多くの人が直感とは逆の方向に進んでしまう。「信条の一文がいちばん重要だから、WHYの円を目立たせたい」という直感は、WHYの円を大きくして「スペースを確保」する方向(Sinekの実例が前提にしている、WHYがいちばん小さい円であるという比率を崩してしまう)か、円を小さいままにして文字をはみ出させたまま放置する方向のどちらかに向かいがちだ。どちらも本当の直し方を外している。直すべきは「一文を、いちばん小さい円に収まるところまで削ること」であって、「円を、一文に合わせて大きくすること」ではない。一文に削り切れないWHYの文章は、たいていまだ信条になっておらず、編集しきれていない段落のままだ。

よくある失敗: 「円がだいたい揃って見える」ことを成功基準にしてしまうこと。同心かどうかは編集画面のズーム倍率で目視できるような印象論ではなく、厳密に成立しているかいないかのどちらかしかない性質で、100%表示で「だいたい大丈夫」に見えるスライドほど、実際に表示されるサイズでは目に見えて崩れていることが多い。

直し方: 中心がずれない同心円をPowerPointで組む手順

直し方は機械的で、これは朗報だ。手先の器用さではなく、手順の順番を変えるだけで解決する。

  1. 1つの円を、最終的な外側のサイズで描く。 標準的な16:9スライド(幅33.87cm)なら、WHATの円を最初に、完成時の直径(15cm程度)で挿入し、そのサイズは目分量でドラッグするのではなく、書式ウィンドウの「高さ」「幅」欄に直接数値を入力する。
  2. 新しい円を描き足すのではなく、複製する。 Ctrl+Dを2回押し、HOWとWHYの円を元の円の複製として作る。複製は元の円とまったく同じ位置に重なった状態で生まれるので、3つとも最初から同じ中心を共有した状態からスタートできる——別々に3つの円を描くのとはここが根本的に違う。
  3. リサイズは角のハンドルではなく数値で行う。 「縦横比を固定」をオンにしたうえで、HOWの円の直径(外側の円のおよそ70%、15cm基準なら10.5cm程度)とWHYの円の直径(およそ40%、同じく6cm程度)を「高さ」欄に直接入力する。数値入力でのリサイズは、その図形自身の現在の中心に向かって縮むため、角をドラッグするよりはるかに元の位置に近いところで止まる。ただし元の点にぴったり一致する保証はなく、それを最終的に保証するのが次のステップだ。
  4. 3つを選択し、スライドではなくお互いを基準に整列する。 3つの円をすべて選択した状態で、「配置」→「左右中央揃え」、続けて「配置」→「上下中央揃え」を実行する(「選択したオブジェクトを整列」が選ばれていて、「スライドに合わせて配置」になっていないことを確認する)。これで3つの図形が、リサイズの経緯に関係なく1つの共有された中心に再び揃う。今後リサイズするたびにこのステップをやり直すこと——ズレを実際に防いでいるのはこの操作であって、丁寧なドラッグではない。
  5. 重なり順と、使うアクセントカラーを決める。 WHATの円を最背面、HOWを中間のレイヤーに送り、WHYを最前面に持ってくる。WHYはデッキで使っている単一のアクセントカラーで塗りつぶし、文字は白にする。HOWとWHATは白か薄いグレーの塗りに細いグレーの枠線、文字は濃い色のままにしておく。こうすることで、文字を読む前に、視線が自然と中心——Sinekの主張の中でいちばん重要だとされる場所——に向かう。
  6. 文章を円に合わせる。円を文章に合わせない。 各円の内側に、その円の可視幅に合わせたテキストボックスを置き、実際にその円が担う一文を入れて読める大きさで収まるか確認する。収まらなければ、円を大きくするのではなく文章を削る。円を大きくしてしまうのが、まさにBeforeのスライドを壊した直し方であり、次のステップが前提にしている比率をまたリセットしてしまう。

上に挙げた70%・40%という数字はあくまで出発点であって、そのまま当てはめるべきルールではない。一文のHOWと一文のWHYであれば、15cmの外側の円を基準にしたこの比率でも読める大きさで収まるが、外側の円が一文ではなく4項目のWHATリストを担うなら、必要なスペースは増え、比率は75%・35%寄りに近づく。円のサイズは3つの円すべての文章を書き終えたあとに決め、最初に出した数字は固定のテンプレート値ではなく、実際の文章に対してテストするための仮の値として扱うのがいい。

AdvisioはMicrosoft AppSourceに掲載されているPowerPointアドインで、この同心円をPowerPointネイティブの3つの楕円として、最初から1つの中心に揃えた状態で生成する。各円の幅はその円に割り当てる文章量に合わせてあらかじめスケーリングされるため、リサイズのたびに誰かが「左右中央揃え」を思い出して実行する必要がない。WHY・HOW・WHATそれぞれの文章を渡すだけで、最初の1回で図形が正しい比率になる。

Afterと、別の事例への展開

先ほどの戦略ブティックに戻ろう。元の円を複製してリサイズのたびに整列をかけ直す作り方に組み直すと、三日月状のズレは消え、その過程でWHYの一文も2行のミッションステートメントから、いちばん小さい円に実際に収まる一文へと削られた——「戦略の仕事が、考える時間より資料を整える時間の方が長くなるべきではないと、我々は信じている」。1つ外側のHOWの円には、「分析をした同じ週のうちに、クライアント自身のテンプレートでポジショニングとオペレーティングモデルの資料を作り上げる」が入った。外側のWHATの円には、一文ではなく短いリストが入った——ゴールデンサークルの中で、1つの円が複数の短い項目を収められるのはここだけだ——「戦略スプリント。オペレーティングモデル再設計。役員会向け資料」。3つの円、3つのまったく違う文章の形(一文・一文・リスト)。それぞれが実際に収まる円のサイズに合わせて作られたからこそ、幾何学的な整合性が保たれた。

現場メモ: このWHYの一文が1行に収まるまでには4回の書き直しがあった。最初の案は他の10社が使っていても違和感のないミッションステートメントだったが、最終的に残った版は「品質」や「卓越」ではなく「資料を整える時間」という具体的な何かを名指ししていて、競合他社の同じ枠の文章と見分けがつく一文になっていた。

この組み立て手順は、まったく別の用途にもそのまま応用できる。ロードマップの方針転換を全社会議で発表するスライドを、社内広報チームが作るケースを考えてみる。内容はピッチデックとは無関係だが、円のサイズを文章量に合わせるという問題は同一だ。WHYには方針転換の理由を一文で——「同じ声を3通りの言い方で受け取っていたのに、我々は3つの別々の修正を作ろうとしていた」。HOWには進め方を一文で——「ロードマップの責任者を1人にし、バックログを1つにし、四半期に1回ではなく2週間ごとにレビューする」。WHATには最初に着手する3つの具体的な変更を短いリストで。このチームの誰もピッチデック版のスライドを見たことがなかったが、組み立ての手順(複製する、数値でリサイズする、整列し直す、重なり順とアクセントカラーを決める、文章を円に合わせる)はまったく同じだった。ゴールデンサークルのスライドが壊れる原因は、業界にもオーディエンスにも依存しないからだ。

ゴールデンサークルが向かない場面

このフレームワークが得意なのは1つの仕事だけだ。詳細よりも先に信条を届け、3つの文章にじっくり向き合う時間がある場で使うこと。だからピッチデックの冒頭ページ、全社会議での発表、創業者のポジショニングスライドには向いている一方、選択肢を比較したり、リスクを追ったり、計画を工程表と突き合わせたりする必要がある経営会議には向いていない。ターゲットオペレーティングモデルの再設計についてのデッキを、なぜその再設計が重要なのかを語るゴールデンサークルのスライドで開くことはできるが、TOMのスライドそのものを置き換えることはできない。「なぜ」と「どういう構造でどうやるか」はまったく別の問いであり、3つの円の図にはレポートラインや業務の所有者を示す余地がないからだ。本来の役割から外れたところでこの図を使おうとすると、たいてい3つの円すべてが箇条書きで埋め尽くされたバージョンになる——それはこの図がもともと担うはずのなかった、ガバナンスの仕事をさせられているサインだ。

WHYの一文が、3C分析のポジショニングの冒頭行として書き直しても意味が通らないなら、それはまだ誰かが実際に行動できる信条ではなく、ミッションステートメントのままだという可能性が高い。円を描き始める前に、まずそこを確認する価値がある。

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